この世はマウスで溢れている。
種類も豊富で自分の使い方に合ったものが容易に選べるであろう。
実際私もお気に入りのマウスというのを持っている。
ボタンの割り当て、ホイールの2段階操作、横スクロール・・・申し分ない操作感だ。
しかし出会ってしまったのだ。人の願いを叶えるという不思議なパワーを持つ「トラックボール」に。
後の相棒である。
私と相棒の出会いはマウスにあった。
マウスを持ち上げておろしたり右に左に動かしたりしていると、無意識のうちに手首が変な方向に向いてしまう癖があった。
私の手首は日々酷使され続けついに悲鳴を上げたのだ。
もしかしてこれが腱鞘炎か?いや、私にはわかる。これは腱鞘炎ではない。ただ腕が痛いだけであると。
どうにかならないかと私は癒し系マウスを探す旅に出た。
そうして旅先のカフェでスマホを取り出し、私がよくお世話になっている”価格ドットコム”を開いたのだ。
・・・・・・・。
マウスの売れ筋ランキングを眺めているとでっかい丸が埋め込まれた変な形のマウスが7位に紛れていた。
一見異端なマウスがなぜトップ10に食い込んでいるのか。
見てみるとトラックボールとかいうやつでなんと腕が疲れにくいとか。
トラックボールに絞ってレビューをよんでいると女性の手にはでかいと散々書かれていた。
だがそんなことはどうでもいい。すでに私は腕が疲れないというトラックボールに魅力を感じていたのだ。
そして魅了された私はすぐさま当時売れ筋ランキング1位だったT-RB22を買った。
それはもうすさまじく速く、一瞬の出来事だった。
をクリックしている0.0001秒の間に買い物が終わっていたなんていったい誰が想像できただろうか。
そうして翌日、ついにトラックボールT-RB22が私の相棒となった。
しかしこれがなかなか使いこなせない。
上下移動はまだいい右移動もまぁ。しかし左移動だけが難しいのだ。
初日の付き合いを終えた感想は「使いにくい」
だがトラックボールよ!明日こそは使いこなしてやるぜ。
そんな強い意気込みを持ち深い眠りについた。
それから無心で使い続けていると、日に日に使いこなしさらには心を通い合わせていく実感があった。
そうして使い続けトラックボールとともに歩んできた日々を振り返ると
慣れると快適
デュアルディスプレイの端から端もお手の物。ボールをシャーっと転がすだけ。
本当に腕が疲れない
「右手は添えるだけ」感覚。
ボタンに指がかかればいいだけなので本体サイズが大きいことや手が小さいことは問題ではなかった。
何より肘を置いて固定できるというのは思った以上に楽だった。
かっこいいセリフが出てくる。
他人が触って使いづらそうにしてると、
「お前にはまだ早いんじゃないか?」や、
「やはりダメか。そいつは心を通い合わせた友じゃないと嫌なんだそうだ。」
と、かっこいいセリフで熱い友情物語が演出できる。
他にも省スペースで済むとかマウスパットがいらないとかいい思い出は色々あるがもちろんデメリットもある。
こいつと付き合っていくには相性というのがあるのが分かった。
脂性の人の手には向いてない。
ボールにごみが付きやすくて掃除が大変になるかもしれない。
イラレフォトショなどのソフトで作業する時、パスやベクトルはまぁ行けるがブラシで操作は難易度が高い。絵を描いたりするのはマウスの方がまだ融通が利くだろう。
エンディング
かくして厳しい旅を終え心を通い合わせてつかんだトラックボールは
私の(腕が疲れないという)願いを叶えたのだ。
願いを叶えてくれる不思議なパワーを持つボールの物語はこれからも語り継がれることだろう。
―完―