iTuneになれたかもしれなかったWinamp - 神戸ホームページ制作センター

iTuneになれたかもしれなかったWinamp

Winamp ついに終了

Winampがサービスやサイト全てを含むサービスを2013年12月20日に終了すると発表しました。
初期バージョンの発表が1997年なので16年の歴史が終わってしまう事になります。自分はここ最近は使っていなかったものの、90年代は音楽再生といえばこれでした。そこで、Winampの歴史を振り返りながら、なぜサービス終了に至ってしまったのかを考えてみたいと思います。

Winampの歴史

1997年 Winamp発売

初代バージョンが出たのは1997年でした。音声再生専用ソフトとして発売されました(有料)。このバージョンはあまり普及していなかった記憶があります。
MP3がPC向けに普及しはじめたのもこの頃です。

1998年 Winamp2発売

当時のOS標準のプレイヤーではMP3が再生できないため、その再生用ソフトとしてMP3とともに普及が加速しました。
当時のPCスペックではMP3の再生は負荷の高い処理でした。プレイヤーによっては再生中他の操作が出来なくなるほどPCが重くなっていたのに比べ、Winampは動作が軽くバックグラウンドで再生しながらPC操作ができるソフトでした。
トップ画像につかっているのがWinamp2の標準スキンです。これに見覚えのある方が多いかと思います。

1999年 AOLがWinamp開発元を買収 フリーソフト版登場

フリーソフト化とMP3の普及に伴い、爆発的な人気となりました。見た目等をカスタマイズできるスキン、機能拡張を行えるプラグインなどもたくさん開発され、Winampの黄金時代となりました。
また、ファイル共有サービスのNapstarがサービス開始したことも、MP3とWinampの普及に加速をかけたと思われます。
当時のWinamp登録者は2500万人超と記録があります。

2002年 Winamp3発売

UI、内部設計を一新し、動画再生に対応したWinamp3が発表されました。が、ユーザからはかなり不評を買いました。不評をかった主な理由として、

  • Winamp2より動作が重い
  • Winamp2のスキン、プラグインと互換性がない

と、Winampと名前がついているもののまったく機能的には別ソフトとなっているため旧版ユーザからの印象は最悪でした。
また、まったく別のソフトとして評価した場合、OS標準のプレイヤーに比べ動画再生のインタフェイスに難があるなど、中途半端な状態でした。
このため、Winamp2とWinamp3系の開発が同時並行で行われ、Winamp2系にも動画再生機能が実装された事でWinamp3系は立場がよくわからない状態になりました。

2003年 Winamp5発売

Winamp2とWinamp3と統合したWinamp5が発売されました。Winamp4は欠番です。スキンやプラグインは2系のみのサポートでした。実質3系を中止し2系にもどした形です。
またこのバージョンから、CDからの取り込み、ライブラリ機能等が追加され音楽・動画再生ソフトから統合的なソフトへの方針に進んでいました。
しかし、既に2001年に発売されたiPod/iTuneがかなりの人気を獲得しており、ユーザを呼び戻す事ができませんでした。WinampにはiPod連携機能も標準搭載だったのに・・・。

開発縮小、そして終了

以後バージョンアップ等が行われるものの依然の人気を取り戻すことができず、Winampの公式blogも去年から更新が止まりました。そして先週、Winampのサービス終了が発表されてしまいました。

Winampが衰退してしまったのは?

人気を博していながら、なぜ衰退してしまったのか。2012年に掲載されたWinamp開発者へのインタビュー(Winampの災難:偉大はMP3プレイヤーはなぜ自分自身を元に戻したのか)をみてみます。これを見ると1999年にAOLに買収された直後、企業文化の違いによりかなりのゴタゴタが生じ、開発方針へかなり影響がでたと開発者本人が語っています。
また、

One particularly bad corporate decision came in 2000, when Palihapitiya and McIntyre wrote the business case for what would have been the first music subscription service at AOL. But the idea wasn’t released as a product until 2003, under the “MusicNet” brand, two years after Rhapsody launched its own music subscription service in 2001.

Fred McIntyre claimed that one of the biggest reasons why AOL failed to capitalize on this music subscription plan was that the company insisted on using its own indigenous billing system, the one used for the Service.

“AOL was religious about this idea that we had to do billing through the same infrastructure that AOL did billing for service for,” he said, comparing it to the ill-fated decision by Yahoo to force Flickr users to use a Yahoo ID to log into the photo-sharing service.

2000年に、Winamp開発者がAOLの課金システムを使った有料音楽配信サービスを提案していますが、AOL側が既存の課金システムを使用したくないという理由で拒否されサービス開始が2003年となってしまいました。
もしこれが、iPod/iTune前にリリースできていれば、iTuneの代わりになっていたかもしれません。

サービスを提案できる人間、それを実行に移せる会社・体制。その両方がないと成功を継続させる事はできないのかなと感じてしまいました。